個人で起業をするメリットとは?起業する際のポイントも解説

さまざまな起業家が注目されている昨今、会社を辞めて独立することを考えている方や、副業から起業をしたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、実は個人事業家のおよそ30%が1年以内に事業に失敗して辞めてしまうといわれています。

そこで本記事では、個人での起業を成功させるために押さえておきたいポイントやメリット・デメリットなどを紹介します。

個人事業主とは

個人事業主とは、税務署に開業届を出して個人で事業を行う方のことです。
事業を行うこと自体は誰でも可能ですが、継続的に事業を行っていくうえで正式な手続きを踏んで税務署から認められることで、さまざまな恩恵があります。

たとえば、個人事業主であれば控除額が大きくなる青色申告の精度が活用できます。
開業届を出していない起業家の場合は、税金の控除がされない白色申告しか利用できないため、経営者にとっては大きなメリットとなるでしょう。

副業が認められている会社に勤めている場合は、会社に所属していながら個人事業主として活動することも可能です。
そのため、副業として安定した収入を得たい場合や事業を小規模から始めて独立を目指したい場合に行われます。

また、個人事業主は基本的に1人の起業家が始めることが多いですが、各種手続きを行えば従業員を雇用することもできます。
1人では対応しきれない業務量でも、人材を雇用すれば負担が軽減されて事業も大きくしやすいでしょう。
事業が大きくなったときに、法人登記を行えば法人としての活動も可能であるため事業をスタートさせる際におすすめの起業形態です。

フリーランスとの違い

個人事業主とよく似たものとして、フリーランスというものがあります。
しかし、フリーランスは個人で仕事を受ける働き方を指す言葉であるため、開業届を出して事業を活動する個人事業主とは意味が少し異なります。

フリーランスは、副業として小規模な活動が可能である反面、安定した収入を得ることが難しいです。
また、フリーランスは基本的に1人で行う働き方であるため、仕事の受注や交渉といったことはすべて自分自身で行わなくてはいけません。

そのため、最初はフリーランスで個人的に仕事を受けて実績を積み、個人事業主として事業を始めていくケースが多いです。

個人で起業する場合のメリット・デメリット

個人事業主として起業をする場合、メリットがある反面デメリットが大きいと感じるケースもあるでしょう。
ここからは、個人が起業する場合のメリットとデメリットをそれぞれ4点ずつ詳しく解説します。

個人で起業するメリット

個人起業家になるメリットは以下のとおりです。

メリット①比較的低コストで事業を始められる

個人で起業を行う際は、最初から法人として設立するよりも手軽かつ低コストで起業できます。
法人として起業する場合、法人登記や社員を雇用するための契約や社会保険の加入といった、さまざまな手続きが発生します。

しかし、個人で起業を始める場合は複雑な手続きは不要であり、年末に確定申告を行うのみで事業を始められます。
個人事業主として事業を安定させる場合も、開業届を出すだけで簡単に事業主として認められるでしょう。

また、業種によっては個人で起業する際にオフィスを借りる必要もなく、自宅で自分の都合にあわせた働き方ができます。
起業時にはなにかと費用がかかるものでもあるため、なるべく低コストで事業を始められることが経営者にとってもメリットでしょう。

メリット②年齢制限がない

会社に雇用されている場合、定年になると退職しなければいけないケースがあります。
現在では、再雇用や定年年齢の引き上げといった施策も多くの起業で行われていますが、将来的に働けなくなるかもしれないことに不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、個人で起業する場合は年齢に関係なく働き続けられるため、定年後も安定した収入を見込めます。
また、事業が軌道に乗って法人化した場合は、能力次第で一企業の社長になることも実現できるでしょう。

メリット③経営方針を自由に決められる

個人で起業を行うときには、自分自身で事業計画や経営方針といったことを考えて事業を進めなくてはいけません。
逆にいえば、経営方針を自分の好きなようにコントロールできるということでもあるため、自由な経営を行いたい方にとってはメリットとなるでしょう。

会社に所属していた際は、会社の経営方針に沿った働き方や営業を行う必要がありますが、個人で起業すればそれらもすべて自分で決められます。
そのため、会社員としてではできなかった事業に取り組めることや、クライアントの新規開拓などができるようになります。

自分自身で経営を行ってみたいという方には、個人による企業はおすすめです。

メリット④所得が少ないうちは支払う税額も少なくなる

個人事業主として起業すると、所得にあわせて税金を支払う必要があります。
しかし、法人化した場合には法人税の課税対象となります。

所得の金額にも左右されますが、所得が少ないうちは法人化したときよりも支払う税額が少なくなる傾向にあるため、お得になる可能性も考えられるでしょう。

そのため、事業が軌道にのって収入が安定するまでは個人事業主として活動することで支払う税額を抑え、収入が上がってきた段階で法人化するケースも多くあります。
ただし、あくまで事業の状況や個人の方針にもよるところではあるので、法人化のタイミングは税理士に相談してから決めるとよいでしょう。

メリット⑤税金の計算・申告手続きが簡単

個人で起業して活動するときには、必ず所得に対する税額を決定するための確定申告を行わなければいけません。
確定申告ときくと、難しい手続きのように聞こえるかもしれませんが、現在では会計ソフトや確定申告サポートのサービス充実により、簡単に申告ができるようになっています。

しかし、法人化した場合は法人税の課税がされるため、税金の計算が難しくなりある程度の専門知識が無ければ確定申告が難しいケースが多々あります。
そのため、税理士に申告のサポートをしてもらう法人は多く、外注費用のコストもかかってしまうでしょう。

個人で起業した方のなかでも税理士を利用して確定申告を行う方もいますが、基本的には法人の場合よりも相場が安い傾向にあります。

個人で起業する際のデメリット

個人で起業する際のメリットはさまざまありますが、デメリットもあります。
以下に、個人で起業する際に考えられるデメリットをまとめました。

デメリット①法人に比べて信用を得にくい

デメリットの1つとして、法人と比較した際に規模が小さいことを理由に個人の起業家は信用を得にくいことが挙げられます。
個人での起業は複雑な手続きをしなくてもできる反面、社会的にはどうしても法人に比べて信用度が劣る傾向にあるため、仕事の受注がしにくくなるケースが考えられます。

また、個人で仕事を受けることになるため対応できる量が少なく、継続して大きな案件を任せてもらえないこともあるでしょう。
事業を継続していくうえで信頼性は非常に重要であり、仕事の受注だけではなく人材を雇用する際にも、信頼性が劣れば応募数は少なくなってしまうかもしれません。

どんなにクオリティの高いサービスや対応をしていたとしても、法人でないことだけを見て信頼してもらえないケースは多いので、注意が必要です。

デメリット②金融機関からの融資を受けられない可能性がある

信頼性が法人に比べて劣るという観点から、金融機関からの融資を受けにくい傾向にあることもデメリットです。

金融機関が融資を行う際は、融資先の財務状況や事業の内容、なぜ融資が必要なのかといった事項を元に審査を行います。
しかし、法人と比較した際に個人事業家は財務状況や業務内容が不透明に見えやすいため、融資の際の審査が厳しくなりやすく、不利になりやすい傾向にあります。

そのため、個人が起業して融資を受けるためには、事業の内容や過去の収支の内訳を記録した収支表を提出するといったような事業の健全性をアピールしなければなりません。

デメリット③収益が増えると税負担も大きくなる

個人で起業する際には、法人に比べて所得が少ないうちは税負担が小さいというメリットがあります。
しかし、事業が安定して収益が増えると所得に応じて税率も上がっていくため税負担も大きくなっていきます。

収益によっては個人で事業を続けていくよりも、法人化することで税負担が軽くなるというケースも考えられるでしょう。
税負担の軽減は法人化を考えるきっかけにもなるので、支払う税額が多くなったと感じた際は法人化の検討をしてみてください。

デメリット④経理や事務手続きの負担が大きい

個人で起業する方は、事業に関するコア業務とは別にさまざまな事務手続きを少人数で対応しなければなりません。
人材を雇用していない場合は1人で行わなくてはいけなくなり、税金の計算や確定申告といったことや雇用契約・社会保険といった手続きも行う必要があります。

起業したばかりのころはやらなくてはいけない作業も多く、コア業務と並行することで業務がパンクしてしまう可能性も考えられるでしょう。
どうしても自分1人で対応が難しい場合は、経理代行サービスといったアウトソーシングや会計ソフトなどのツールの導入を考えてみることもおすすめします。

個人で起業する際に押さえておきたい5つのポイント

個人で起業する際にはメリットもデメリットもありますが、必ずしも起業したからといって事業が継続できるとは限りません。
実際に、個人で起業した方のうち50%以上が1年以内に経営難になるといわれており、約30%の方が事業に失敗してしまう傾向にあります。

せっかく起業するのであれば、事業を継続させて成功させたいものですよね。
そこでここからは、個人が起業する際に押さえておきたい成功のポイントを5つ紹介していきます。

ポイント①資金繰りの計画を起業前に立てる

事業の活動を継続するためには、必ず資金が必要になります。
そのため、事業を円滑に進めるために必要な初期費用や売り上げに対するランニングコストといった資金繰りの計画を立てるようにしましょう。

どんなによい事業であっても、資金が枯渇してしまうと事業は円滑に進められなくなるので、資金繰りは非常に重要です。
しかし、実現できるか分からない資金繰りの計画を立ててしまうと、かえって赤字を出してしまうことも考えられるので、無理のない資金繰りの計画を立てることをおすすめします。

最初のうちはなるべく支出を抑えて活動を行い、事業が軌道に乗って売上が安定してきたら、費用を増やしていくような方法も効果的でしょう。
また、資金が不足した場合には日本政策金融公庫や信用金庫などの、各種金融機関から融資を受けるといった方法や、補助金・助成金制度の利用もおすすめです。

ただし、個人で起業した場合は法人と比較した際に、財務状況や業務内容が不透明である傾向があり、信頼性が低いことから融資の際の審査が厳しくなりやすいです。

審査に通りやすくするためにも、普段から収支の内訳を記録しておき、事業の健全性をアピールできるようにしておきましょう。

ポイント②粗利を考える

法人であっても個人であっても、事業を継続して収益を得れば税金を支払う義務が発生します。
また、サービスを提供するために必要になったコストや社会保険料・厚生年金といったさまざまな雑費が必要です。

そのため、事業で得た売り上げはそのまま収益として手元に入るわけではなく、税金や雑費を差し引いた粗利が純利益として手元に残ります。

もし税金の存在を把握していないことで未納の状態が続くと、あとになって多額の税金を徴収されることや行政処分を受ける可能性もあります。
また、必要コストを支払った結果赤字となってしまい、資金繰りがうまくいかなくなって事業が円滑に進められないことも考えられます。

このようなことがないように、まずは粗利を考えてサービスの値段を考えて事業計画や資金繰りを行っていくようにしましょう。

ポイント③会計管理ができるスキルを身に着ける

法人や大きな企業の場合、経理や管理部といった会計管理を専門に行う部署があるでしょう。
しかし、個人で起業する場合には自分自身以外に会計管理を行ってくれる人はいません。

そのため、自身で会計管理ができるスキルを身に着けることが重要です。
会計管理ができるスキルは、税金の計算や出費・収入といった管理だけではなく、長期的な資金繰りの計画を立てる際にも役立つでしょう。

また、将来的に経理担当者を配置したときに、提出された帳簿データが本当に正しいものかどうかを判断する目も養えます。

会計管理スキルは経営者としては非常に重要なスキルであるため、起業前から勉強しておくとよいでしょう。

ポイント④起業する前に事業計画を練っておく

起業して事業を続けていくためには、事前に事業計画を練っておく必要があります。
事業計画とは、事業の進め方や目標、見込み売り上げや集客方法といった事業を継続していくための長期的な計画です。

事業計画は細かい部分までを綿密に計画しておかなくてはいけないため、起業前から事業計画を練っておいて実現可能になった段階で実施するとよいでしょう。

また、起業前に立てた事業計画は事業を継続していくうちに計画から外れていくことも考えられます。
その際は、都度計画をブラッシュアップして事業が継続できるような計画を立て直していくことをおすすめします。

個人での起業は小規模で事業をスタートできる

いかがでしたでしょうか?

個人で起業する際は、 事業のルールや方針を自分で決めることができるので、比較的自由に事業を進めやすいという特徴があります。
しかし、法人と比較すると社会的な信用が低いことから、営業活動がスムーズにできない場合や融資が受けにくい場合があることなどはデメリットだといえるでしょう。

個人での起業を成功させるためには、事業計画や資金繰りといった計画を起業前から綿密に練っておき、必要となるスキルを身に着けておくことをおすすめします。

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